「 無 縁 な る も の 」 1998               

 作品がゴミからできているのか、作品のありかたがゴミのようにあるのか、 またはその両方なのか。 「ゴミ」とは当然のごとく、恣意的な言葉である。人為的な価値の流通世界から放り出された、外部に対する一つのレッテルである。だからそれは常に社会の価値の網の眼の外部に接触する無縁なものとして漂う。私の興味はその無縁なあり方そのものである。 ホームレスやノラ犬の無縁性、死という彼岸、台座を失った彫刻、制度を失った美術、それらは社会の価値基準の外へ放逐されつながっている。そして それらは、価値の体系そのものを相対化し、顕在化させる契機を孕み続けている。ノラ犬の死体の彫刻は、無縁なるものへの美術における一つのオマー ジュである。