合体について  

 僕の作品は「作品」だけど「作ってない」のが特徴です。  「つくる」んじゃなくて「合体」です。  基本的には拾ってきた「もの」と「もの」を合わせただけでできています。  本来「ものごと」の成り立ちや組成にはこの「合体」がつきものです。  それは創作活動としての「つくる」概念に先立ち、より原初的じゃないかと思います。  「もの」と「もの」の合体では、お互いの似ている部分と違う部分が各々反応します。  共通点はつながり、異なる点はその差を広げていく。 「合体」という「他者」との接触のおかげで、自身の隠れた特徴が表に表れてきます。 双方の「キャラクター」を、お互いで強め合いながら、同時に各々の結びつきをも深め合い、一つの新しい何かを一緒につくり出していきます。  それを一種の「誕生物語・神話」として読みながら、「他者」との理想的なかかわり方が模索されていると考えることも可能でしょう。  「ものごと」の成り立ちには、本来そのような具体性のあるドラマが透けて見えるべきではないでしょうか?「合体」に孕むダイナミズムはその指標となるように思えます。
 
                     2007・秋・青野文昭