「各々の来歴・各々の道行き」  

収拾物の断片に基づく自分の仕事は、断片各々がこれまで経てきた道筋に耳を傾け、今後の進むべき方向へ後押ししようとするものである。文脈や意味は、自分の方ではなく、断片個々の側に内在している。それは大きな物語や歴史の中で作品がつくられるのではなく、個々の作品が自らの時間と根拠を持って自律していこうとすることでもある。                          

2008、9月 青野文昭