祝い絵(おかざり)
縁起物のめでたい「え」を神社などから買ってきて、正月などに神棚に飾ったり、壁にはったりする風習がある。白い紙に、お多福とか恵比須とかいわゆる民俗的キャラクターを型どおりなぞったようなものである。神社で「霊力」が入れられて、それも含めた値段でうられる。それを買ってきて飾ると縁起が良く、魔よけにもなる。また様々な「え」キャラクターによっておくられてくる「霊力」、そのききめの分野が違ってくる。このような「え」こそもっとも依代的な性質を持っていると思われる(例えば中国人が家の入り口に張り付ける赤地金文字の書も同様であろう)。それはペラペラの紙、ぺらぺらの「え」だからこそ、物質を超えた見えない領域と通じ、かつそれを宿しうるのである。「え」を家の壁に「貼る」とは、その行為自体が、縁起の良い霊をその家に「憑依」させることと同義なのだと思う。